歯を失う大きな原因は歯周病(歯周炎や歯肉炎)です。歯周病は、細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)が、歯と歯ぐきの隙間である歯周ポケットに住み着くことで発生します。
20歳代までは、この歯周病菌をもっている人は少ないのですが、50歳代以降では7、8割の人が持っているといわれています。歯周病になると細菌がどんどん症状を悪化させ、歯が1本2本と抜けていくようになります。
この病気が恐ろしいのは、口の中だけの問題ではすまないということです。放置していると、歯周病菌が血管に入り込み、血流にのって全身の臓器に影響を与え、肺炎や心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病などさまざまな病気を引き起こす一因となるのです。
予防の基本はデンタルプラークのコントロールです。そのためには、毎日のブラッシングが鉄則となります。経度の歯周病なら、毎食後のブラッシングだけで改善します。
ただし、磨き残しのないようにキチンと磨くのは意外と難しいものです。一度、歯科で歯磨きの指導を受けるとよいでしょう。
健康な歯を維持するためには、歯科医院で歯の状態を定期的にチェックしてもらうことが大切です。自分でケアしきれない部分もあるからです。たとえば、歯石の除去は歯科医院でしかできません。
歯科医院を受診する目安は3ヶ月に1回といわれています。歯科ではの健康状態や日頃のセルフケアをチェックしてもらいましょう。歯磨きの仕方や虫歯のチェックだけでなく、新しいデンタルグッズの情報やその利用法などをアドバイスしてくれる先生もいます。
歯科医院では以下のようなデンタルケアが行なわれます。
歯磨き指導
歯並びや磨き方の癖による、磨き残しの注意点などを指導してもらいます。
歯と歯間のクリーニング
自分では落とせないしつこい汚れ、細菌の膜(バイオフィルム)を除去してもらいます。
歯石の除去
歯の表面にくっついた歯石をスケーラーという特殊な器具で落としてもらいます。
フッ素の塗布
虫歯菌に対するバリアとして、濃度の高いフッ素を歯の表面に塗ってもらいます。
虫歯や歯周炎などの理由で歯を失った場合、そのままにしておくと、咀嚼や、発音に支障をきたします。また、健康な歯にも負担がかかって悪化していくこともあります。物がおいしく食べられなかったり、美容上の不満が生じることがあり、精神状態にも悪影響を及びます。歯の修復処置は、そのようなことを防ぐためには欠かせないものです。
充填
虫歯になった歯は、進行は止められても、穴が開いた状態のままになってしまいます。ですから、虫歯で凹んだり、治療が削られた部分は、専用の素材で補う必要があるのです。
患部が前歯や、小さい歯の場合は、レジンというプラスチックの素材を詰める(充填する)方法がよく用いられます。奥にある臼歯や、患部が深すぎて神経まで侵されているものは、レジンでは弱くて充填できないこともあるので、その場合は、メタルクラウンやインレー修復といって、金合金を使った型で、削った部分を補うなどの処置をします。
ブリッジ
失った歯の両側の歯を削り、人口歯を含んだ、かぶせる形のものを橋のようにはめるものです。残った歯に負担がかかり、新たな虫歯やし周縁の原因になりやすいので、装着後のプラークコントロールは重要です。
インプラント
チタンなどでできた人口の歯根を外科的な方法であごの骨に埋め込みます。骨がやせている高齢者には適していません。
義歯(入れ歯)
義歯には、全部床義歯(総入れ歯)、部分床義歯(部分入れ歯)があります。部分床義歯は、残っている歯に金属のばねなどをかけて固定するタイプです。
そのほか、アタッチメントという義歯もあります。これは、金属のばねが目立たないように、歯と関節のようにつながっているタイプです。しかし、このタイプは健康保険の適用外なので、高額です。
いずれの場合も、歯科医の説明を受けて、納得したうえでつくってもらうことが重要です。舌などに当たったり、違和感を覚える部分がないかどうかを、よく確かめ、少しでも気になるところがあったら調節してもらいます。
また、日常の手入れも不可欠です。毎食後にきちんとブラッシングをしたり、洗浄剤を用いて清潔を保つようにしましょう。合わない義歯、不衛生な義歯は、不快感があるだけでなく、舌がんなどの原因となります。